連続討議「現代アメリカ映画への政治的視角――イーストウッドとスピルバーグ」開催のお知らせ
(2018年11月13日)
連続討議
現代アメリカ映画への政治的視角ーーイーストウッドとスピルバーグ
2018年12月8日(土)・2019年1月12日(土)
15:00開始(17:30終了予定)
無料(予約不要)
企画・講師 藤井仁子(早稲田大学文学学術院教授)
アメリカ映画はいつも両義的である。両義的であることによって最大多数の観客を惹きつけ、そのことでハリウッド帝国の世界支配を可能ならしめたといってよい。だが、それにしても。現代のアメリカ映画における両義性はもはや両義的であることで安全な娯楽たりえているというよりも、かえっていっそう危険で不可解な何ものかへの変貌を遂げてはいないか。そもそも「親米」なのか「反米」なのかの区別さえつかない「大衆娯楽」とはいったい何なのだろうか。こうした難問に答える作業の端緒として、クリント・イーストウッドとスティーヴン・スピルバーグにあらためて光をあてたい。ともに誰もが知るヒットメイカーでありながら、もっとも政治的に物議を醸す映画のつくり手でもあるからだ。特定の個人ではなく町そのものが主人公であるかのようなイーストウッドの『ミスティック・リバー』(2003)を考えるうえでは、自身アンサンブル・キャストの演出に長け、優れた批評眼も兼ね備えた濱口竜介監督を、そして伝記映画の定型を大きく外れるスピルバーグの『リンカーン』(2012)を考えるうえでは、刺戟的なベンヤミンの再読を長年世に問いつつ、最近はアメリカ映画における階級表象に関心を寄せる映画研究者の中村秀之氏をゲストに迎え、徹底的に議論を深めたい。
2018年12月8日(土) 早稲田大学戸山キャンパス36号館581教室
第1回 「息子たちの星条旗――『ミスティック・リバー』とイーストウッド的「ゾンビ」の徘徊」
対話者 濱口竜介(映画監督)
2019年1月12日(土) 早稲田大学戸山キャンパス36号館演劇映像実習室(283教室)
第2回 「誰がために鐘は鳴るーースピルバーグの『リンカーン』と絶対者の問題」
対話者 中村秀之(立教大学教授)
藤井仁子(ふじい・じんし)
1973年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。編著書に『入門・現代ハリウッド映画講義』(人文書院)、『甦る相米慎二』(共編、インスクリプト)、『森﨑東党宣言!』(インスクリプト)、共訳書に『わたしは邪魔された――ニコラス・レイ映画講義録』(みすず書房)など。
濱口竜介(はまぐち・りゅうすけ)
1978年生まれ。映画監督。監督作に『親密さ』(2012年)、『ハッピーアワー』(2015年)、『寝ても覚めても』(2018年)など。共著書『カメラの前で演じること――映画「ハッピーアワー」テキスト集成』(左右社)のほか、多数の映画評・エッセーを執筆。
中村秀之(なかむら・ひでゆき)
1955年生まれ。立教大学現代心理学部教授。著書に『映像/言説の文化社会学――フィルム・ノワールとモダニティ』(岩波書店)、『瓦礫の天使たちー―ベンヤミンから〈映画〉の見果てぬ夢へ』(せりか書房)、『敗者の身ぶり――ポスト占領期の日本映画』(岩波書店)など。
※本企画はJSPS科研費16K02342の助成を受けて行なわれます。
共催:早稲田大学演劇映像学会
問い合わせ先:藤井仁子 jinfujii@waseda.jp
関連企画
2018年12月23日(日) 15:20(予定) 神戸映画資料館
講演「リンカーンはなぜ殺される――『若き日のリンカーン』と〈創設〉の問題」
講師 藤井仁子
*当日13:30よりジョン・フォード監督『若き日のリンカーン』(1939)の上映あり。上映のみ有料。
神戸映画資料館 http://www.kobe-eiga.net